歯周病は、歯を支えている歯茎や歯槽骨などの歯周組織に炎症が起こる慢性的な感染症です。初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことが多く、「サイレントディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれています。 歯周病は適切な治療と予防により、進行を食い止めたり改善したりすることが可能な疾患でもあります。当院では、患者様一人ひとりの歯周病の進行度に応じた最適な治療を提供し、長期的な口腔の健康維持をサポートしています。 歯周病セルフチェック まずは、ご自身でチェックしてみましょう。 次の10項目のうち、いくつ当てはまるか数えてみてください。 チェック項目(全10項目) ・歯ぐきが赤く腫れているように感じる ・歯みがき中に出血することがある ・口臭が気になる、または周囲から指摘された ・歯ぐきが下がってきたように見える ・歯が以前より長く見える気がする ・歯がグラつく、浮いているような違和感がある ・食事の際、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった ・朝起きたとき、口の中がネバついている ・歯ぐきを押すと膿のようなものが出ることがある ・最後に歯科検診を受けたのが1年以上前である 判定の目安 ・0〜2項目該当:現時点で大きな心配はありませんが、定期的な歯科検診は継続しましょう。 ・3〜5項目該当:歯周病の初期段階の可能性があります。一度歯科医にご相談ください。 ・6項目以上該当:歯周病が進行している可能性が高いため、早めの受診をおすすめします。 気になる症状がある方は、放置せず早めのチェックと治療が大切です。 歯ぐきの健康を守るためにも、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。 当院の歯周病治療における特徴 当院では、最新の知見と豊富な臨床経験に基づいた包括的な歯周病治療を提供しています。患者様一人ひとりの症状や生活背景に応じたオーダーメイドの治療計画を立案し、根本的な改善を目指した治療を実施しています。 まず、詳細な歯周病検査により現在の状態を正確に把握いたします。歯周ポケットの深さ、歯の動揺度、出血の有無、プラークや歯石の付着状況などを数値化して記録し、客観的なデータに基づいた治療計画を立案します。また、レントゲン撮影により歯槽骨の破壊状況も詳しく調べます。 治療においては、スケーリングやルートプレーニングなどの基本治療から、歯周外科治療、歯周組織再生療法まで、幅広い治療選択肢を用意しています。患者様の症状や希望に応じて最適な治療法を選択し、段階的に歯周組織の健康回復を図ります。 痛みを最小限に抑えた治療を心がけており、必要に応じて局所麻酔や表面麻酔を使用することで、患者様の負担を軽減しています。また、超音波スケーラーなどの最新機器を活用することで、効率的で快適な治療を実現しています。 歯周病治療において重要なのは、治療後の継続的な管理です。当院では、治療完了後も定期的なメンテナンスにより歯周病の再発を防止し、長期間にわたって口腔の健康を維持していただけるようサポートしています。 また、歯周病と全身疾患との関連についても考慮し、必要に応じて医科との連携を図りながら治療を進めます。糖尿病をお持ちの患者様には特に注意深い管理を行い、歯周病治療により全身の健康状態の改善にも寄与することを目指しています。 患者様への教育と指導にも力を入れており、正しい歯磨き方法や生活習慣の改善について詳しくお伝えしています。患者様ご自身が歯周病について理解を深め、主体的に予防に取り組んでいただけるよう、丁寧で分かりやすい説明を心がけています。 歯周病の直接的原因 プラーク(歯垢)中の細菌 歯と歯茎の境目にたまるプラークには、数百種類・約10億個以上の細菌が存在。 これらの細菌が毒素や酵素を出し、歯茎に炎症を起こします(歯肉炎)。 歯石の形成 プラークが石灰化すると歯石になり、表面がざらついて新たなプラークが付着しやすくなります。 歯石は歯磨きでは取れず、専門的なクリーニングが必要です。 悪性度の高い歯周病原菌 代表的な細菌 ・ポルフィロモナス・ジンジバリス ・タンネレラ・フォーサイシア ・トレポネーマ・デンティコラ 強力な毒素で歯周組織を破壊します。 バイオフィルムの形成 細菌が作る粘性の膜(バイオフィルム)により、抗菌剤への抵抗性が高まる。 通常のうがいや薬剤では除去が困難です。 プラークが残りやすい部位 歯ブラシが届きにくい場所に注意 ・歯と歯の間 ・歯と歯茎の境目 ・奥歯の溝 ・歯並びの悪い部分 プラークの質的変化 時間が経つと、プラーク内の病原性細菌の割合が増加し、炎症が強くなります。 → 毎日の丁寧な歯磨きと清掃が予防の基本です。 歯周病の間接的原因 歯周病はプラーク(歯垢)だけでなく、以下のような生活習慣や全身状態も深く関係しています。 喫煙 ニコチンが血管を収縮させ、歯茎への血流が低下 歯茎の抵抗力が弱まり、細菌への防御力が低下 症状が現れにくく、発見が遅れる傾向も ストレス 免疫力が低下し、感染に対する抵抗力が弱まる 歯ぎしり・食いしばりが増え、歯周組織に負担がかかる 糖尿病 高血糖により白血球の機能が低下し、感染しやすくなる 歯周病が血糖コントロールを悪化させることもあり、相互に悪影響 妊娠 女性ホルモンの増加で特定の歯周病菌が増殖 つわりによる歯磨き困難もリスク要因に 栄養不足・偏食 ビタミンC不足で歯茎の炎症が起こりやすくなる 糖分の多い食事は細菌の栄養源となり、増殖を促進 歯ぎしり・食いしばり 歯や歯周組織に過度な力がかかり、炎症や破壊を助長 特に睡眠中の歯ぎしりは無意識で強い力が加わる 薬の副作用 一部の薬剤(降圧剤・抗てんかん薬・免疫抑制剤など)で歯茎が腫れやすくなったり、感染に弱くなることがあります これらの要因は、歯周病の進行を早めたり、治療効果を妨げることがあります。 気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。生活習慣の見直しも含め、丁寧にサポートいたします。 歯周病の進行 初期段階 歯肉炎 歯茎のみに炎症が起きている状態 赤く腫れる・歯磨き時に出血しやすい 歯槽骨への影響はなく、適切なケアで完全に治癒可能 軽度歯周炎 炎症が歯茎の奥まで進行し、歯周ポケット(4〜5mm)が形成 歯槽骨の破壊は軽度 専門的なクリーニングとセルフケアで改善が期待できる 中等度歯周炎 歯周ポケットが6〜7mmに深くなり、骨の破壊も進行 歯茎が下がり、歯が長く見える・知覚過敏が出る 歯の動揺が軽度に現れることも 継続的な治療と管理が必要 重度歯周炎 歯周ポケットが8mm以上、歯槽骨の破壊が重度 歯がグラグラする・咬むと痛みがある 歯茎から膿が出る・口臭が強くなる 進行を食い止めるための積極的な治療が必要 末期段階 歯を支える組織がほぼ失われ、歯が自然に抜け落ちることも 食事が困難になるほどの痛みや動揺 抜歯と補綴治療(入れ歯・インプラントなど)が必要になる場合あり ※進行度は個人差が大きく、部位によっても異なり、全身状態や生活習慣によって進行速度が変わります。 定期的な歯科検診と早期治療が何より重要です 歯周病の治療の流れ ステップ1:初診・問診 患者様の症状・お悩み・既往歴・服薬状況・生活習慣などを詳しく伺います。 → 歯周病は全身疾患とも関係があるため、全身状態も丁寧に確認します。 ステップ2:精密検査 ・歯周ポケットの深さ ・歯の動揺度 ・出血・膿の有無 ・プラーク・歯石の付着状況 ・レントゲンによる歯槽骨の状態確認 →歯周病の進行度を正確に診断します。 ステップ3:状態のご説明 検査結果をもとに、現在の歯周病の状態をわかりやすくご説明。 → どの歯がどの程度進行しているか、今後の治療方針も丁寧にご案内します。 ステップ4:基本治療 ・スケーリング(歯石除去) ・ルートプレーニング(歯根面の滑沢化) → 歯周ポケット内の汚れを徹底除去し、炎症の原因を取り除きます。 → 正しいブラッシング方法もご指導します。 ステップ5:治癒評価 基本治療後、歯茎の治癒状況を確認。 → 改善が不十分な場合は、歯周外科治療を検討します。 ステップ6:歯周外科治療(必要に応じて) ・歯茎の切開、歯根面の直視下清掃 ・歯周組織の再生処置 → 状態に応じて最適な外科的アプローチを選択します。 ステップ7:メンテナンス・再発予防 治療完了後は、3〜6ヶ月ごとの定期検診で歯周病の再発を防止。 → 歯周組織の状態をチェックし、必要に応じてクリーニングを行います。 歯周病の予防と対策 毎日の丁寧な歯磨き 毛先の柔らかい歯ブラシを使用 歯と歯茎の境目をやさしく小刻みに磨く → 強く磨かず、プラークを丁寧に除去することが大切です 歯間清掃具の活用 デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間も清掃 → 歯ブラシだけでは届かない部分のプラークを除去 → 清掃具の選び方・使い方は当院でご指導いたします 洗口剤の併用 殺菌効果のある洗口剤で細菌の増殖を抑制 → あくまで補助的な手段。基本は歯磨きです 食生活の見直し 糖分の多い食品・飲料を控える 野菜・魚中心のバランスの良い食事を → 特にビタミンCは歯茎の健康維持に重要です 禁煙の推奨 喫煙は歯周病の最大リスク要因 → 血流が悪化し、治療効果も低下します → 予防・治療のためにも禁煙を強くおすすめします ストレス管理 適度な運動・睡眠・リラックスで免疫力を維持 → 歯周病への抵抗力を高めるためにも重要です 定期的な歯科検診とクリーニング 3〜6ヶ月ごとの検診で早期発見・早期治療 → セルフケアでは取りきれない歯石・プラークを専門的に除去 詳しくはこちら 全身疾患の管理 糖尿病などの疾患がある方は主治医と連携 → 全身状態の安定が歯周病予防にもつながります これらの対策を総合的に実践することで、歯周病のリスクを大幅に軽減し、健康な歯茎を長く保つことができます。 当院では、患者様一人ひとりに合わせた予防プログラムをご提案し、継続的にサポートいたします。お気軽にご相談ください。 PRICE 当院では保険診療も取り扱っております VIEW MORE